豚のうんこは何になる

子豚たち
「何見てんのよ〜!。豚のうんこは役に立つのよ!」

 豚のうんこは何になりますかと聞かれたら、普通の人は堆肥(腐らせて肥料にする)と答えるだろう。しかし、中国では変わった利用方法がある。私は聞いて驚いてしまった。
 豚のうんこでガスを作ると言う。最近ではテレビで豚のうんこでメタンガスを作るのは紹介されているが、私はテレビで紹介される前に聞いたのでなおさら驚いた。物が腐るとメタンガスが発生するのは知っているが、実際に豚のうんこからメタンガスが発生して、それが利用されているのは驚きである。私が見たのは、50匹の母豚がいる養豚場である。1匹の母豚はだいたい1回に10匹の子豚を産む。1年に2回、産むので50匹の母豚だと1年間に1000匹の子豚が生まれる。この養豚場は中国の養豚場の中では中規模の養豚場である。メタンガスを作り出す槽の構造はわからないが、5千元(7万5千円)で作れるそうである。中国の物価を考えても結構、安いと思う。豚小屋と家とは約15mほど離れている。透明なビニールホースをメタンガスが通ってくる。静電気で爆発しないのかなと思うがここは中国、問題が起こってから考える国、安全対策とかしたら5千元じゃ作れないだろう。まあ、中国の家はレンガとセメントと石膏でできているので日本の家に比べれば燃える物が少ないからいいか。ガスレンジは家の二階にある。養豚場のご主人が自慢げに火をつけてくれた。「おー、青い炎だ」普通のプロパンガスと変わらない青い炎が出る。私は豚のメタンガスで調理した料理をご馳走になりました。
 もう1つの豚のうんこの活用法は、池の魚の餌である。豚が消化してない部分が魚の直接的な餌になり、消化されたうんこはプランクトン(微生物)の餌になり、プランクトンは魚の餌になる。魚が小さい時は、豚のうんこだけで育つ。魚を出荷する4ヶ月前から普通の魚の餌を与える。豚のうんこは与えすぎてはいけない。豚のうんこを与えすぎると池の塩分濃度が濃くなったり、栄養が増えすぎて酸素不足になってしまう。そうなると、池の魚が死んでしまう。池の大きさに合わせて豚のうんこを与える事が重要である。豚のうんこを池に運ぶのに労力はいらない。井戸水をポンプで汲み上げてホースから水を放水して、豚小屋を洗います。この汚水は側溝を通り、養豚場のそばにある池に流れていきます。汚水が流れてくると、魚たちは汚水のまわりに群がります。(写真参照)ただ、水が低いところに流れるという事を利用しているだけです。1日に3回、豚小屋を洗浄するので日本の養豚場に比べると臭くはありません。また、汚水が流れ込んでいる池はというと全く豚のうんこの臭いはしないから不思議です。日本は島国なので海の魚がたくさん取れます。だから、池の魚の養殖は多くはありません。しかし、中国は、内陸が広いですし、海は工業排水で汚れています。だから、淡水魚の養殖が盛んなのです。そして、淡水魚の養殖にはさらなる中国人の知恵があるのです。それは、池の上層部に住む魚と中層部に住む魚と池の底の方に住む魚を組み合わせて飼います。そして、水草などを好む魚とプランクトンを好む魚を組み合わせます。池の空間を最大限に利用し、餌も最大限に利用する事により、より多くの魚を飼う事が出来ます。
 私が魚が豚のうんこを食べると聞いて、「げー、俺中国の魚喰っちゃったよ!」と思ったのですが、中国人はそれが普通なので何とも思っていません。豚のうんこも活用、中国おそるべし。

豚のうんこに群がる魚たち
豚のうんこに群がる魚たち、黒っぽい影が魚たちです。

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